家づくりの契約書について

「いい家」の実現は契約の仕方で90%決まる



●契約書に安易に捺印して後悔しないように!


「一戸建て住宅を手に入れるまでのポイントのなかで、いちばん重要なのが契約なの?」

そんな疑問が浮かんだ方は、たぶん注文住宅であれば建物の工事チェックが最重要だろうと、建売住宅の場合は完成物件の記録確認が重要だろうと、そのように思われていたのではありませんか?

実は、注文住宅を建てる場合も、建売住宅を購入する場合も、どちらももっとも重要で、細心の注意を払わないといけないのは「契約」なのです。

住宅についてのトラブルを抱える人に共通して言えることは、この契約を軽く考えていた人が非常に多いのです。

「家づくりの90%は契約行為で決まる」といってもいいくらいです。

なぜならば、契約書に捺印するまでは、まだ後戻りできますが、いったん捺印をしてしまったら、契約を取り消すことは簡単にできません。

数千円の商品の買い物ですと、もし失敗しても「損したのは痛かったけど、仕方ない」とあきらめがつくかもしれませんが、住宅は何千万円という人生最大の買い物です。

何か問題が発生しても契約後は取り返しがつかず、一生後悔することになってしまいます。

それほど重大な契約を、まだまだ多くの人は安易に考え、内容をロクに確認しないで、わからない部分があってもそのままにして、ハウスメーカーや工務店などの業者に促されるままに捺印してしまっているようです。


●法律はあなたを守ってくれない。ならば「契約」で自己防衛を


家を買うときにいちばん重要なのは「契約」。
この契約で、ハウスメーカーや工務店など業者の都合のいい論理をシャットアウトし、自分の手に主導権を引き寄せることができたら、その家づくりは、ほぼ成功したも同然です。

なぜ、契約にこだわるかというと、本来、ハウスメーカーや工務店などの業者の暴走を阻止し、消費者を守ってくれるはずの法律、特に建築基準法が、まったく機能していないからです。

建築基準法は”ザル法”と言えるようなものです。建築基準法施行令や告示で規定されている技術基準は不完全なまま放置されています。

住宅の重要な基本性能である「断熱」についての規定は一切ありませんし、コンクリート基礎の仕様についても、曖昧な表現で解釈がわかれるような有様です。

このような状況では、ハウスメーカーや工務店などの業者が自分たちに都合のいいように解釈して、消費者不在のまま建物が建てられてしまうのも、ある意味仕方ないことなのかもしれません。

建築基準法やその関連法は、あくまでも建築業界、特に建築士性善説により成り立っています。ハウスメーカーや工務店などの業者がビジネスをしやすいように、”ザル”状態になっているともいえます。

現行の法律が消費者の立場に立ったものではないということを、前提として、まずしっかりと理解しておいてください。

人の生命や財産を守る役割がある建築物の、設計監理を業務とすることを国から、認められた建築業界における最高峰に位置すべき建築士が、消費者の立場に立っていないのです。

自分を守ってくれる法律が整備されていないとしたら、どうやって自己防衛をすればいいのか。それが「契約」なのです。

法律が曖昧で具体性に欠ける部分を、契約のなかで技術基準を明確に示し、問題が起きた場合の責任の取り方を明らかにしておくことです。


契約の大まかな流れ



ハウスメーカーや住宅会社によって契約の流れは少し異なります。
基本的な契約を締結するまでの大まかな流れを例示します。

1、仮契約

ハウスメーカー・住宅会社を選定した時に、まず仮契約を結びます。
通常は手付金として10万円程度を支払います。

2、設計図の作成

数回の打ち合わせに基づいて、出来るだけあなたの予算内に
入るように仕様書や仕上げ表、各種図面を作成してもらいます。

ここでは、仕様書の内容を決めるために、実際の建材や色などを
選定するようにします。

3、見積書の作成

作成した設計図を基に、建築費用の見積書を作成してもらいます。

4、設計変更

作成してもらった見積書があなたの予算内に収まっているときは、
そのまま契約することになります。
もし、予算をオーバーしている場合は、再度打ち合わせをして、
設計変更を行うか、予算を変更するかを決めます。

5、本契約

工事請負契約を締結します。この時点でハウスメーカー・住宅会社と
施主であるあなたとの契約が完了します。

ここで注意することは、「仮契約」「本契約」です。
法律上、仮契約というものは存在しません。

仮契約も法律的には本契約とほぼ同じであるという点を
認識してから「この住宅会社に自分の家の建築をお願いする」
という申し込み・意思表示をきちんとしてください。

こんなにある、家づくりの契約書

住宅建築に関わるさまざまな書類がハウスメーカー・住宅会社から
施主であるあなたに渡されます。

あなたはこれらの書類すべてに十分目を通して、納得したうえで
捺印しなければいけません。

1、工事請負契約書

施主、請負人、工事期間、請負金額、代金の支払い方法を
明記してある書類です。

その条件で契約することを確認したうえで、収入印紙を貼り、
請負人と施主の欄にそれぞれ署名、捺印をします。
施主であるあなたは実印で捺印をします。

2、工事請負契約約款

「約款」とは、簡単にいえば工事の約束事が書かれている
書類です。

一括委任の禁止、瑕疵の担保責任(間違いやミスがあったときの
責任)、履行、遅延など、契約書では記載できなかった細かな
ことについての取り決めが記載されています。

契約前に受け取り、目を通しておくことをおすすめします。

3、見積書(工事費用内訳明細書)

いわゆる工事費の見積書です。

この書類には工事項目、形状寸法、数量、単価が細かく
記載されます。

この書類に細かく見積りがなされていれば、追加変更に
なった場合でも減額と増額がはっきりするのでトラブルに
なりません。「内訳明細書を添付していただかないと契約
できません」と要求してください。

数量項目が一式となっている場合は要注意です。
また、この書類では、別途工事になる項目についても
しっかり確かめておく必要があります。

できれば、見積書は建築のプロである第三者に内容を
診断してもらうことをおすすめします。

4、設計図書

この書類は実施設計と呼ばれ、ハウスメーカー・住宅会社に
よって図面の枚数は異なります。

一般的には10〜15枚程度です。
建築図面と見積書、仕様書などのくい違いがないかを
確認し、契約図面として工事請負契約書に添付します。

仕様書、仕上げ表、配置図、平面図、立面図、断面図、
矩計図、構造関連図(特に基礎詳細図と壁量計算書は必須)
設備図

これらの書類の1つでも欠けていたらNGです。


図面や内訳明細書がないことが原因で起こりうる、トラブルは後を絶ちません。
契約書類はすべて揃っていなければ、契約しないという毅然とした態度でのぞんでください。


要注意!別途工事の記述



「坪単価26万円と広告チラシにかいてあったのに、見積りをとってみたら坪単価が45万円になってしまった」

広告やチラシでは安い坪単価で表記してあった家の価格・建築費用が、結果的に実際は高額な坪単価になってしまった。

こんなことはなぜ起こるのでしょうか?

それは見積書の項目の泣かんの「別途工事」の記載を曖昧にしている場合があるからです。

別途工事というのは、建物の本体工事とは別に行われる工事のことです。
施主・建て主にとっては当然、本体工事の中に含まれると思っていた工事がじつは別料金(オプション)だったということがよくあります。

この別途工事がクセものなのです。

ハウスメーカーや工務店など住宅会社から見積書を入手したら、まずこの別途工事の欄を最初に確認・チェックしましょう。

それでは、「別途工事」のチェックポイントは次の通りです。

◎地盤調査
あなたの建設予定地の地盤が家を建てられるかどうかを調査する工事です。

地盤補強が必要かどうかを確認する調査で、この調査費用が本体工事費用に含まれるかどうか確認することが必要です。

地盤調査費用は10万円前後です。

◎地盤補強工事
地盤調査の結果、地盤が弱く、建物を支える力が不足していると判断された場合は、地盤補強の工事が必要になります。

この費用が本体工事費用に含まれているかどうか確認してください。

地盤補強工事費用は意外に高く、20〜200万円まで別途にかかkる場合があります。

◎建築確認
建築確認とは、設計図面通りの家をその土地に建築できるかどうかを、建築基準法に照らし合わせて審査することです。

この審査に合格すれば、役所から「建築確認通知書」が発行されます。

この費用は、数万円から20万円以内になります。

◎第三者保証
建築する住宅が欠陥なく建てられているかなどを、工事途中や完成後に第三者の専門家が確認・チェックする制度に要する費用です。

これは、数万円程度の費用が必要です。

◎役所検査
工事が完了した際に行う、完了検査の費用です。

この検査に合格すれば、検査済証が発行されます。

◎補助金申請
省エネルギー住宅など、補助金が受けられる住宅を建てる場合、補助金申請に必要な費用です。

◎その他
外構工事、冷暖房設備、網戸、カーテン(カーテンレール)、ブラインド、照明器具、テレビアンテナなどにかかる費用です。

当然、家の本体工事費用に含まれていると考えがちですが、別料金になっていることも多いのです。

この項目の確認・チェックをないがしろにすると、後で大きな金額を負担しなければならなくなります。




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