欠陥住宅が造られる原因について

ハウスメーカー、工務店など、建設業者が請負契約で家を建てるにあたり、欠陥住宅が造られ原因として、下記のような事が考えられます。

●図面の不備
 ・家づくりにおいて、建築の知識のない素人の施主と営業マンが打ち合わせをして、営業マンが自社の設計担当者に施主の意向を伝達するのですが、これでは良い家ができるはずがありません。設計担当者は請負業者に雇用されている者か下請の設計士です。彼らは建て主・施主に有利な図面は作成しません。
  見てくれだけの美しい間取図と外観図と仕上表だけの不備な図面で工事費が試算されます。手抜き欠陥住宅はこの図面の不備から始まります。
●請負業者
 ・請負業者は基本的に利益優先で、必要なだけピンハネをして、厳しい予算で下請業者(専門職人など)に発注します。
  厳しい予算で受注した下請業者も赤字では生計がなりたちません。その結果、手抜き・劣悪工事が行われる。手抜き欠陥住宅は下請け業者に厳しい予算で仕事をさせることが一つの原因です。
 ・分離発注や相対契約では、ユーザーと専門職との直接契約。
  ハウスメーカー、工務店と結ぶ請負契約では下請となる専門職の方々ですが分離発注や相対契約ではこれらの専門職の方々一人ひとりと契約しますので彼らが、工事の元請となります。したがってハウスメーカー、工務店などの中間搾取がなくなり、適正な工事費用を支払ってもらえるので良い工事ができます。ハウスメーカー、工務店などの下請け作業ですと彼らの雇い主であるハウスメーカー、工務店のほうを向いて仕事・作業をしますが、分離発注や相対契約ではあなたが雇い主ですから専門職の方々はあなたのほうを向いて、あなたの指示に従って仕事・作業をします。工事費用を払っていただける方のいうことをきくのは当たり前ですから。

●見積書の不備
 ・詳細に作成されているようで、なされていないのが、ハウスメーカー、工務店等の概算一式見積り、坪単価での見積りです。法律で求められている工事費用明細書を作成しない、渡さないことにより、ごまかし放題、手抜きし放題。見積り明細書に関する法律の説明をしてくれない。これらの行為は違法・説明義務違反になります。本当に残念なことですが、多くのハウスメーカー、工務店などの業者が法律を遵守していません。この結果、手抜き欠陥住宅を生み出しています。手抜き欠陥工事はあいまいな見積書のせいです。
 ・分離発注や相対契約ではまず信頼できる建築士を選定しますので、詳細明細書付きの見積書の作成、原価公開と見積書に関する法律も詳しく説明してくれるように施主であるあなたが建築士と一緒になって直接要求できます。

●契約書の不備
 ・ハウスメーカー、工務店など業者側に都合よい内容にした独自の契約書を用いるのが一般的です。施主であるあなたが「自由に契約内容や条項を変更してもよい」ということを説明しないのが商慣行となっています。
  請負契約書は施主であるあなたの側が弁護士などと相談して作成できることについてはハウスメーカー、工務店などは説明しないのです。これは違法・説明義務違反です。
  契約金などの名目で前渡金を取るようになっている契約の場合は、施主であるあなたに被害損害を与えたときに賠償する能力資力を有する保証人を付けることが必須条件であるという法律・規定の説明はしてくれません。明らかに違法で説明義務に違反しています。
 ・請負契約は施主であるあなたと工事専門職人や業者との直接契約し、工事費も出来高、後払いすることが手抜き工事を防ぐ有効な手段です。

●請負契約 (ハウスメーカー、工務店等と結ぶ契約は全て請負契約)
 ・ハウスメーカー、工務店などの業者が業者側に都合のよい内容・条項を記載した業者専用の契約書で契約を結びます。ほとんどの場合施主であるあなたはこの契約に関する関係法律・規定については説明をうけません。施主であるあなたは契約書を見るのは初めてで、内容や条項に不備があっても請負契約とはこんなものかと納得させられて、記名捺印します。これが手抜き欠陥工事の始まりなのです。
 ・分離発注や相対契約では施主であるあなたの依頼を受けた建築士が専門職や工事業者との間に入り公平な契約を結ぶことができます。

※ハウスメーカー、工務店などとの請負契約は建築業者の利益優先ですので、手抜き・欠陥のない良い家は造ってもらうのは困難であると認識してください。
 

かってマスコミを賑わした事件、耐震偽装問題、マンションの鉄筋強度不足などや欠陥住宅訴訟、全て請負契約が原因で発生したことです。

●工事監理者
 ・ハウスメーカー、工務店などとの請負契約においては、工事監理者は元請業者内の部署担当者や社員である場合が殆どです。工事監理とは名ばかりで、いくつかの現場を掛け持ちしていて実際には施主であるあなたの工事現場で十分な工事指導や行き届いた工事監理ができません。工事職人の手抜き粗悪工事などは見て見ぬ振りや見抜けない。その結果として手抜き欠陥工事となります。
 ・分離発注や相対契約では施主であるあなたの依頼を受けた建築士があなたに代わって工事の指導・監理を最初から最後まで逐一行います。

●専門職 (大工、左官、電気、水道、木材、屋根、外壁、サッシ、設備、建具業者など)
 ・ハウスメーカー、工務店などの請負契約において、専門職は下請、孫請という形態で工事・作業を行っています。ハウスメーカー、工務店などから厳しい予算で無理やり工事を行うよう要請されます。施主であるあなたの方は見ず元請業者・ハウスメーカー、工務店などの担当者の方を見て仕事をします。
  元請→下請→孫請へと仕事の依頼が下りていく度にピンハネが行われます。最終的に工事をする業者や職人はなんとか手間賃を稼ぐためにこっそり手抜きをしますので欠陥工事となります。
 ・分離発注や相対契約ではこれら下請・孫請の工事業者や専門職人との相対契約ですから彼らが元請となりますから、ピンハネがありません。ピンハネがないことにより正当な利益のある工事費用を施主であるあなたからいただけるので手抜きしないでキチンとした良い工事をしてもらえることになります。

※欠陥住宅問題は建設業界の縦層構造での工事請負という悪しき慣行の結果といえます。
 

●工事説明
 ・ハウスメーカー、工務店などとの請負契約。彼らは施主であるあなたの家造りは「任せてください」「信用してください」とはいいますが、工事の各工程ごとでの説明はしません。施主であるあなたに詳しく説明しないのには理由があります。工程ごとに詳しく説明するとごまかせないし、手抜き工事ができなくなるからです。つまり工事費用を浮かせて余分な利益をとることができなくなるのです。
 ・分離発注や相対契約では、工事前段階より法律および参考図書に基づき、施主であるあなたが納得できるまで建築士から工事の各工程ごとに詳細な工事説明を受けることができます。

●工事価格
 ・ハウスメーカー、工務店などとの請負契約ですが工事費用が高額であるか廉価であるかは問題ではありません。問題は施主であるあなたは支払い総額しか知らないことです。
実際の家の建設費用がいくらであるかが施主であるあなたにはわからない。契約金額の総額の50%しか実際の工事費としてかけないハウスメーカー、工務店などの業者があるといわれています。つまり粗利益率50%です。できるだけ工事費用を抑えることに血眼になることが手抜き欠陥工事につながります。
 ・分離発注や相対契約では原価公開ですから、どの工事にどれだけ費用がかかっているか全て明らかになっております。
  施主であるあなたが重要と思う工事や設備には、必要なだけ費用をかけることができますので、納得と満足が得られます。

※分離発注や相対契約では欠陥住宅をつかまされることは防ぐことができるということです。
 これから家を建てる予定のあなたは、ハウスメーカー、工務店等と請負契約を結ぶと、様々な納得のできないこと、満足できない家造りになる可能性があると肝に銘じておいてください。

URL:注文住宅建築日記・分離発注方式による我が家造り